昨日から書き始めた、レンズの立体感についての続きです。
レンズの立体感を左右する要素として
・パース
・陰影
・ボケ
・精密感
があるのではないか?と書きました。
昨日は、パースと陰影について書きましたが、今日はボケと精密感について書きます。
・ボケ
についてですが、人間の眼ってボケって基本的に出ないんですよねぇ。
出るとしたら、老眼鏡をかけて少し近くを見るときくらい。
その時の雰囲気はボケを表現した写真に似ていると思います。
そして、両目で見た場合、意識を集中した対象物が少しだけ浮き上がって見えます。
片目をつぶって見るのと比べると、この浮き上がりがないのが判ります。
おそらく、これが写真のボケが立体感を感じるメカニズムだと思います。
で、立体感に影響を及ぼすボケの要素については2つ
ボケ味とボケの推移があると思います。
ボケ味は綺麗なほうが立体感を感じやすく、2線ボケやざわついたボケなどは別のものに見えてしまったりしてそこに意識が集中するので立体感を感じさせる邪魔になるのではないかなと思うのですが、個人的には、あまりに綺麗すぎるボケ味もわざとらしく感じることもあります。
ボケの推移については、なめらかなほど自然に見えますし、急峻なボケの変化は、昨日言った「被写体の分離効果」は大きいものの、「切り取ったような写真」になりがちな印象を受けます。
ちなみに、ニコンは三次元的ハイファイの解説で「ピントが合っているところから、ぼけかけたところ、完全にぼけたところまでの連続性を重視し、立体感の向上を図っています。」という事を言っています。
最後に
・精密感
についてですが、たぶんあればあるほどいいのでしょうね。
有名な話で初期型ズミクロンの解像度は測定限界以上の280本以上/mmだといいます。
ズミクロンの拡大フィルム時代独特の立体感を複数回感じたのは、リコーGR、ズミクロン、マミヤ645の80mmでした。
まぁ、マミヤはフォーマットが違うのでなんともいえません。
しかし、ズミクロンは柔らかいレンズなので、少し眠い印象を持つ方もいると思います。
海外で、立体感と「マイクロコントラスト」の相関の記事をよく見ますが、このあたりよくわかりません。
というのも、MTF曲線の30本/mmのカーブが高い数値を示していてもあまり立体感との相関を感じないのです。
それに

ズミクロンの写真なんですが、逆光で撮っているためフレアを沢山出しています。
その割には、立体感も失われておらず、縮小前の写真を拡大するとネコのマツゲまで綺麗に解像しています。
とはいっても

ペンタックスMの35mmF2.8なんですが、妙な立体感というか生々しさを感じます。
陰影の表現は見事ですし、ボケも悪く無いですが、解像度はたいしたことありません。
これも

陰影もいいし、ボケも悪く無いのですが、解像度はたいしたことないですが、妙な立体感があります。
なので、今のところ
解像感はあればあるほどよいが、立体感を左右する大きな要素でもないのかな?
と感じています。
俺は、立体感のあるレンズが全てではないと思っています。
もちろん好き嫌いはあるのですが、どんなレンズも使い手次第で、やりたい表現に合っているかだけだと思っています。
とはいえ、こうした記事を書くときに、ペンタックスのレンズに対して「なんかいいなぁ」と言っている比率が高いのは何なんでしょうねぇ・・・
昨日、最初に書いた通り、この2日で書いたことは、それほど自信のある内容ではありません。
今のところ、個人的な感想ではありますが、立体感のあるレンズの特徴として
・35mmから100mmくらいで
・陰影の階調表現に優れており
・ボケ味が良く、ボケの推移がなめらかで
・精密感のある描写をする
レンズがよいのではないかなと思っています。
何度も書きましたが
ズマロン35mmF2.8、ニッコール35mmF2
ズミクロン、タクマー55mmF1.8
FA77、ニッコール105mmF2.5
などに、俺は独特の立体感を感じます。
タムロンのA09も好きです。まぁズームなので単焦点とは比べるものでもないですけど。
これに、新規導入した現代レンズと、古い設計のレンズを加えて実験をしたいと思っています。
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