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夏休みのアンプ工作(その1)

さて、「なんとなく理解できるアンプ」の連載が終わったので、その知識を生かして、夏休みの工作をすることにします。

でも、お金はないので、過去つくったアンプをリニューアルすることにします。

20200731005.jpg

それが、これなんですけどね。
おおよそ20年前に作ったのだけど、結構カッコイイ。

メタルキャンFETの2SK134と2SJ49を使った窪田式アンプです。

20200731004.jpg

真上から・・・

アンプを作っていて思うのですが、「ああ、音が変わったな」と思えるのはOPアンプによる変化は大きいですね。
後は、気分のものかもしれないけど、終段のトランジスタも大きい(ような気がする。)

となると、OPアンプを差し替え式にして、終段のメタルキャンも交換できるようにしたら、色々変化が楽しめるのではないかと考えた。

内部の回路を確認すると・・・

20200731001.jpg

スカスカですね。
もう少しつめこんでもいけそう。

20200731002.jpg

ガラエポの基板です。ランドははがれるだろうけど、高級品なので再利用したいなぁ・・・

20200731003.jpg

電源です。15000uFのコンデンサが4本に、フィルムコンをパラってます。

結構、丁寧な仕事に見えます。すごいぞ20年前の俺。
電源を確認すると±25Vでした。

お金のかかる部品はほとんど流用できそうです。

設計仕様を検討します。
■電源は±25V
■初段はOPアンプによる増幅とし、OPアンプは交換可能とする。
■最大出力は25Wとし、そのためにゲインは10倍とする。
■終段はSEPPとし、メタルキャンのトランジスタは交換可能とする。
■メインアンプとしての使用に耐えられるよう、遅延リレーを設ける。

こんなものかなぁ?

基本的に、新規で設ける線と抵抗、コンデンサ、トランジスタだけを買おうと思っています。


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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(回路図読解編)

さて、合計6回の連載を終えた、「なんとなく理解できるアンプ」ですが、勉強の成果を試すときがきました。

20200730001.jpg

これは、定本P122の10Wパワーアンプの回路図です。

勉強したことが各所にちりばめられております。
左から、「オペアンプによる電圧増幅回路」があります。これは、2つ目の基本回路、「OPアンプ非反転増幅回路」そのものです。
NFB回路の先を見ると、スピーカー出力につながっているので、全体の回路でNFBをかけているようです。

次に、トランジスタが7つつながっていますが、右側の2つは同じもののようです。つまり、パラレル回路になっているだけで、出力に余裕があれば一番右の上下の2つはなくてもよさそうです。

そう考えると、単純になり、5つ目の基本回路、「SEPP出力回路」そのものです。

となると、中ほどの、トランジスタとVR1のあたりが「バイアス回路」となり、バイアス(アイドリング)調整用のボリュームがVR1ってわけです。
ここで、VR1の取り付け方を見てください。ショートしても、R3のおかげで、一定の抵抗値がありますし、オープンになってもR4のおかげで断線はしないようになっています。実に安全な回路です。

TR2とTR4は、基本回路、「SEPP出力回路」のダーリントントランジスタとなっており、それぞれ、ドライバと終段になっております。

TR4のエミッタ抵抗が0.22Ωになっているので、アイドリング電流を既定値の10mAにするためには、R12の両側で2mVくらいにすればよいと思われます。

後は、応用編で、ゲインを変えたければ、R1の数値を変えたり、電圧を変えたければ、R6とR7の数値を変えることになります。
(電圧が変わった場合、オペアンプがそのまま使えるかを気にしなければなりません)

次っ!

20200730002.jpg

海外のハイファイサイトから入手したヤマハのアンプの回路図です。
少し見にくいのですが、信号の経路をマーカーで着色しています。

左から、まず、カップリングコンデンサがありますね。精度のよいフィルムコンデンサなどに交換したら音が変わると思います。

続いて、オペアンプの回路、その右には、回路図にバスやら、トレブルやら書いているので、フィルター回路でしょう。
その右に差動回路、さらに右にバイアス回路、一番右側には、基本回路、「SEPP出力回路」の終段があります。

終段のエミッタ抵抗に0.47と書いているので、アイドリング電流20mAにしたかったら、バイアスVRを調整して、抵抗の両側で大体10mVにすればよいです。よくみるとTP(テストポイント)が抵抗の両側になっているので、ここで計測してもよいと思います。

もう一か所、差動回路の下にVRがあります。これはおそらくDC調整用のVRです。これを調整してスピーカー端子のDC電圧を0Vに調整します。

メインアンプ基板についているVRは、バイアス調整用とDC調整用であることがほとんどです。さわってもどちらも変化しない場合は保護回路の調整であるケースもあるので、変化しない場合は、そっと元の角度に戻します。

そのほかの、トランジスタの役目は、「大体こうかな」と思うのですが、間違っていたら嫌なので解説しません。
アンプの修理をする上での、知識は、この程度でどうにかなると思います。

どうですか?
基本回路5つと法則5つで、なんとか、半分くらい理解できていると思いませんか?

手近なところの回路図2つを解説してみました。

次回、自分の夏休みの工作のためのアンプ設計を、読者と一緒にやってみたいと思います。


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ジャンクレンズ Zoom Nikkor 80–200mm F4を分解修理(その2)

さて、カビまみれのジャンクレンズ Zoom Nikkor 80–200mm F4を清掃していきます。

20200729001.jpg

まず、レンズ先端にあるこの小さなネジをはずし

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反時計回りにねじると前玉がとれます。
ニコンはこのパターンが多いのかなぁ?

20200729003.jpg

早速、カビておるね。

20200729004.jpg

その下に第2群
これをカニ目レンチで外すと

20200729006.jpg

カビておるが、たいしたことない。

20200729005.jpg

第3群は奥だったので心配だったが、かろうじて届いた。

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左から、前玉、第2群、第3群

20200729008.jpg

カビのひどいのは第3群
カビだけでシルボン紙が真っ黒に・・・
なんとか、全てのレンズが綺麗になりました。

しかし、レンズを覗くとまだ、カビがいます。
前からは届かないので・・・

20200729009.jpg

後ろからバラします。

20200729010.jpg

マウントを外すと、カニ目が表れたので、回すと

20200729011.jpg

ごっそりと外れました。
カビはこのユニットの裏面にありました。
そのほかは、カビはないようです。

元通りにくみたてると・・・

20200729012.jpg

おお!
クリヤーです。

早速、写りを確認すると・・・

20200729013.jpg

150mm付近 開放
めちゃめちゃクリアな写りです。
葉っぱの一枚一枚が生々しい。

そに子を撮ると

20200729014.jpg

180mm付近 開放

20200729015.jpg

180mm付近 F8

いやあ。これもずいぶんよく写ります。
手振れ補正がないので、少し手振れもしているかもしれませんが、陰影の感じやボケ味などなかなかのものです。

20200728003.jpg

光の当たり方もちがいますが、掃除前はハロによるにじみが出ています。

このレンズ、想像以上に良く写ります。
中学生の頃は、「平凡なスペックなのに高いなぁ」と思っていましたが、それなりの理由があったようです。
金属製の部品でしっかりしているし、その割にコンパクトで軽いし、さすがプロユースって感じです。

大事にしよう・・・
しかし、カビ臭が未だとれないのです・・・


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ジャンクレンズ Zoom Nikkor 80–200mm F4を分解修理(その1)

またしても、某オクでジャンクレンズを手に入れました。

20200728005.jpg

こんなの。
ニッコール80-200mm F4って奴です。

レンズカビありってのでワンコイン以下でした。
送料を含めても1000円以下でした。やすいなぁ。

確か、私の中学時代は10万円以上したプロ用のレンズだったと思います。
F4.5はよく見かけるけど、F4は生産時期も短いので比率的には少ないかな・・・といってもベストセラーレンズなのでタマガズは豊富です。

製造番号でしらべると、1981年から1998年まで作られたもののうちの後ろのほうの数字でしたので1990年代半ばのものでしょうか?
さて、届いたレンズですが、とにかくカビ臭い。
レンズを見ると・・・

20200728006.jpg

前玉からすでにカビています。

20200728007.jpg

後玉もカビ
写真には写りませんが・・・

ライトをあてると

20200728008.jpg

内部までまんべんなくカビております。
カビの写真を撮るのが上手くなりました。

まともに写る気がしませんが・・・

20200728001.jpg

意外にまともに写ります。
逆光気味の開放 1/800

20200728003.jpg

そに子 開放
室内で光源がないと良く写ります。ふんわりとしたやさしい描写

20200728004.jpg

そに子 F8
やさしい描写は変わりませんが、顔のあたりの被写体深度が深くなっているようです。

レンズ自体は大事にされたもののようでピカピカです。
上手にカビが落とせて、カビ臭がなくなったらよいなぁ・・・


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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(その6)

アンプの回路の解説も難しいのはここまでです。

俺も疲れているのか、昨日の記事を見直すと初段のBCEを間違って記載していました。
気が付かれたかたもいるでしょうが、気が付かれないうちにこそっと直しておきました。

さて、最後の回路です。

■5つ目の基本回路、「SEPP出力回路」です。

20200727001.jpg

今までの回路は、電圧の増幅を行う回路ですが、これは電圧の増幅を行いません。何かというと電流を大きくして、小さい抵抗の負荷(スピーカーの事です)を動かすための回路です。
SEPPというのは「Single Ended Push-Pull」の略で、色々な工夫はありますが、市販のトランジスタアンプはほぼこの出力段によるものです。

今までの回路と違ってエミッタに出力がついています。右側の4つが出力トランジスタで、上下でNPN、PNPのトランジスタが対になっており、プッシュプル動作をするのです。
左側のトランジスタはバイアス用です。今まではバイアス電圧は抵抗で作っていましたが、終段のトランジスタは熱くなって暴走する可能性があるので、トランジスタを用います。

回路を、簡単にしてみます。

20200727002.jpg

最後の2つのトランジスタはエミッタとベースがつながっており、2段重ねのようになっています。これを「ダーリントン接続」といいます。疑似的に1つのトランジスタのような動作をさせることができてそのhFEはそれぞれのhFEを掛けたものになります。

バイアス回路は、抵抗と同じですが、トランジスタは温度が上昇すると電流が流れやすくなるので、それを利用して抵抗値を低下させるものです。暴走しやすさを逆に利用して終段の暴走を止めるのです。このため、バイアスのトランジスタは、終段と熱的にくっつけておきます。

簡単にした回路が上の図の下図です。簡単でしょ。
定本P85の回路は抵抗がダイオードに変わっていますが、ほぼ同じものです。

さて、回路設計です。

終段の電流は10mA、ダーリントンの一つ目のトランジスタ(これをドライバと呼びます)の電流は5mA、バイアス段の電流は2mAにします。電源は±12V
R5とR6は終段の熱暴走を抑えるためのもので、相場は0.5Ω前後です。ここでは0.22Ωにしました。
ドライバ段は5mAのためR3とR4は0.6Vとして120Ω
バイアス回路は1.2Vでよいのかというと、ダーリントン接続で2.4V必要です。
そのため、R1とR2は(24V-2.4V)/2=10.8Vで2mAなので5.4KΩ
RBは1.5KΩとするとVR1はその3倍くらいあれば2.4Vのバイアスが取り出せるので5KΩとします。

出来た回路

20200727003.jpg

R1は中点電圧を0Vにするために5.4Kを4Kの固定抵抗と2.5KのVRに分けました。

なかなか立派なアンプです。
参考までに、自分ならTR1はTTC004B、TR2はTTC004BとTTA004Bのコンプリ、TR3は2SC2837と2SA1186のコンプリなんかどうかなと思います。
少し、余裕のある定格ですが、もっと大きなアンプにでも使えるものなのと安く手に入るのでお勧めです。

上の回路は、定本でいうとP94の回路や、P122の回路に近いものです。(P122は終段がパラレルになっております。)

さて、これで、基本回路5つと法則5つをすべて解説しました。
これだけ、知識があれば、なんとなく回路図がわかり、なんとなく設計ができます。

次回以降、それを証明して見せます。次からは簡単になりますので、ブログのブックマークを消すのは勘弁してください。

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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(その5)

アンプの回路の話の集中連載も5日目です。

フレのロッキーパパさんに「記事どうですか?」と聞くと
「判らないので、ついていっていません」とのことで少しへこみました。

誰にでも、判るように書いているつもりなんだけどなぁ・・・
目的意識があって、部品が手元にあったら少しは理解が進むかもしれません。

それに「アンプの設計してやろう」「アンプ作ってやろう」って人でないと理解するのは無理ですね。
正直、誰にでも面白い記事になっているとは思っていないですし・・・

さて、気を取り直して・・・

■4つ目の基本回路、「差動増幅回路」です。

20200726001.jpg

よく見る形です。
簡単に言うと、特性のそろったトランジスタを使って、入力1と入力2の差を出力する回路です。
入力2はNFBに使うと、特性も向上するし、ゲインも固定できるので非常に使いやすいです。

入力が2つあるって何か記憶にありませんか?
そうなんです。「OPアンプ」OPアンプはこの作動増幅回路が中に入っています。

早速、回路設計をしてみます。

20200726002.jpg

■3つ目の基本回路、「負帰還2段増幅回路」の初段を差動回路にしてみました。
出力2は使わないので省略。その場合2つめのトランジスタのコレクタ抵抗も不要です。

今回も、ゲインは10倍にします。
各部の電流値は2段目は2mA、初段は0.2mA*2で0.4mAにしました。

さて、どこから設計しましょうか?
2段目のエミッタ電圧は2Vくらいほしいのでここを2VにするとR5は1000Ω

すると、1つ目の法則「■トランジスタが正常に動作しているときベースから矢印の方向に0.6V低い電圧になる」
によってR3は2.6V、0.2mAより13000Ω
入力のベースは抵抗により接地しているので0V、法則により1つ目のトランジスタのエミッタ電圧は0.6V、となるとR1は11.4V、0.4mAで28.5KΩ
R4も11.4Vとすると、2mAのため5.7kΩ
Rfは5.7Kに対して十分に大きい値とする必要があるので100kΩ、ゲイン10倍よりRsは10KΩ
R2は抵抗値を差動の両側でそろえる必要があるので100KΩ

はい!
出来上がりました。

20200726003.jpg

コンデンサは適当です。
周波数特性を向上させたい方は、定本P43などを参考に数値を見直してください。大体、大丈夫だと思いますが・・・

今回の基本回路は定本P265のものに近いです。定本のものは、定電流化するためのエミッタ抵抗がトランジスタになっています。

今回、設計した回路は、シンプルながら結構いい感じですね。これに、3端子レギュレータを使った正負電源とボリュームをつけたら立派なプリアンプになりそうです。

さて、これで、回路4つを覚えました。あと、1つ回路を覚えたら終わりです。


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恒例のイカ釣りへ

一昨日の23日はフレのロッキーパパさんとイカ釣りに行ってきました。

20200725004.jpg

イカ釣りといえばこの船がお気に入りです。釣り場まで近いし、船の雰囲気ものんびりしているし・・・

日が暮れるまでは、五目釣り。俺はタイとアジをつりました。
日が暮れてからは、イカ釣り。まわりが、オバマリグでやっているなか、浮きスッテでがんばりましたが、釣り勝てました。
俺の浮きスッテは、長年の年月で改良したものなので、ここぞというときの爆発力は凄いです。

さて、釣果は・・・

20200725001.jpg

アジ4、タイ5
アジは洗い桶からはみ出すほどのサイズのものが1匹混じりました。タイは最大25cm、あとは手のひらサイズのものがほとんどです。(チダイ、レンコダイ含む)

20200725002.jpg

イカは45杯
どれも買ったら500円以上しそうな良いサイズです。そでも、44杯はマイカ(ケンサキイカ)です。

20200725003.jpg

昨夜は、豪華刺身3種盛りになりました。4人がかりでも食べきれませんでした。

これくらい釣れると楽しいです。いつもこんなんだったらいいのに・・・


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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(その4)

電気回路の解説企画もその4です。

退屈ですかねぇ?理解するためには、自分で書いてみて、自分で電卓で計算することが一番だと思います。
真空管アンプの世界ですが、「情熱の真空管」を主宰しておられる、木村氏(文章も上手で本当に尊敬できる方です)などは、「手で計算したほうがよい」といっておられます。

さて、今日も基本回路を覚えます。

■3つ目の基本回路、「負帰還2段増幅回路」です

20200723001.jpg

ずいぶん、複雑になってきましたか?
こんなの、覚えられないと思うでしょう。俺も覚えていません。似たような回路図を見ながらアレンジしているだけです。

複雑ですが、よく見てください。どこか見覚えのある回路が隠れていませんか?

20200723002.jpg

上図の「ブロック1」と書かれている、回路の前半部分
1つ目の基本回路の「エミッタ接地回路」にそっくりです。ここではPNPトランジスタを使っているので、コンデンサが上についているだけです。

そして、「ブロック2」と書かれている後半の回路も、1つ目の基本回路の「エミッタ接地回路」にそっくりです。1つ目のトランジスタがくっついていたりしますが、トランジスタはNPNなのでコンデンサも同じ場所にあります。

そして、出力から、1つ目のトランジスタのコレクタに抵抗とコンデンサがくっついています。これがNFBです。
これも、よく見ると、2つ目の基本回路、「OPアンプ非反転増幅回路」のNFBに似ている気がします。

負帰還がついていて、トランジスタを2つ重ねて増幅しているから、「負帰還2段増幅回路」です

PNPとNPNを使っているのは、電圧が偏るのを防ぐためですが、別に、PNPの連続でも、NPNの連続でも、逆でもかまいません。
なんとなく、実用回路ではPNP-NPNのパターンが多いように思います。

では、今までの法則と経験を利用して、設計を始めます。

20200723003.jpg

1段目の電流値は「エミッタ増幅回路」にならって1mAとします。となると一番左の抵抗に流す電流は0.1mAでよいでしょう。
一番左の抵抗は、適切にトランジスタに電圧を加えるための2つなので「バイアス段」と呼ぶことにします。

2段目の電流値は奮発して2mAにします。通常1段目より大きくしますがほどほどです。2mAも計算しやすいでしょう?

さて、抵抗値の決定です。
バイアス段は12Vで0.1mAなので(R1+R2)は120K
12Vの真ん中くらいが動作点としてはよさそうなので5Vとすると、R1=50K、R2=70Kになります。

続いて1段目
R3にかかる電圧は5Vに0.6Vを足した5.6Vなので、0.001*R=5.6より5.6K
になります。

次が少しややこしいのですが、1つ目の基本回路でNPNトランジスタのエミッタ電圧を1.4Vにしたのを覚えているでしょうか?
エミッタ電圧は2V前後が必要で、電源電圧の大きさによって加減するのです。となると2段目のエミッタ電圧を2Vにするためには、R4に発生する電圧を+0.6V足して2.6Vにする必要があります。
(ややこしいことを書いているようですが、ようは、法則1■トランジスタが正常に動作しているときベースから矢印の方向に0.6V低い電圧になる。のことです。)

以上より、R4は、0.001*R=2.6より2.6K

続いて2段目
R6は、2mAで2Vなので、1K(式は書かないので自分で計算してください)
R5は5Vくらい(12Vの真ん中くらい)にしたいので2.5K

今回ゲインを20倍にしたいと思います。
すると
Rf:Rs=20倍(厳密には(Rs+Rf)/Rsですが、大体こんな感じ)なので
Rf=50K、Rs=2.5Kになります。

はいっ、出来ました。

実用回路はこんな感じで・・・

20200723004.jpg

この「実用回路はこんな感じで」っていうの曲者ですね。
俺も、「後だしで色々くっつけてずるい」と思っていました。
でも、一応計算はするのですが、大体で大丈夫なのです。一応解説すると・・・

入り口と出口とNFBのコンデンサはカップリングコンデンサなので10uFです、NFBは電圧が正負に振れるのでバイポーラにします。
一番上のコンデンサは電源インピーダンスを下げるためのものです。なんとなくもっと大きくすれば、音が良くなる気もします。
それぞれのエミッタにパラレルで入っているコンデンサは、交流信号を通すためのコンデンサです。交流信号の場合、抵抗値が小さくなると低域の周波数特性が悪くなるので大きめの100uFにしています。(コンデンサの容量が大きくなると低域の周波数特性が良くなります。詳しくは定本P43)

ちなみに、1つ目の「エミッタ接地回路」と違って、それぞれのエミッタの抵抗全体にコンデンサがくっついています。この場合のゲインは、法則3「エミッタ接地回路」のゲインはR3/R4になる。によって無限大になりますが、いくらなんでも無限大にはならずにhFE程度であたまうちになります。
しかし、負帰還によって、ゲインを制限しているのでこれでよいのです。

さて、これで、法則5つと、回路3つを覚えました。
この回路などはかなり高級で1970年代のアンプならば最先端の技術です。上の実用回路に2SC1815と2SA1015と書いていますが、さしずめ、「低雑音、高hFEによる音質を追求した初段増幅回路」となるでしょう。

今回の回路は「定本」でいうと、P198の回路です。(PNPとNPNが逆です)

もう少しだけ、この話題続けます。


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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(その3)

さて、今日は、まず基本回路を紹介します。

■2つ目の基本回路、「OPアンプ非反転増幅回路」です

20200722001.jpg

こんなの

オペアンプには普通入力が2つあって、それぞれ+入力-入力となっています。
出口から-入力に信号を返すとこれがネガティブフィードバック(NFB)となります。
全部返すと、帰還量が100%となって増幅しないので、適度に少ない量を帰還させます。
そうすることによって、特性を向上させる効果と、ゲインを固定する効果があります。

簡単な回路なので、丸暗記でいいと思います。

ここで法則5
■上記オペアンプのNFB回路によるゲインは(Rs+Rf)/Rsになる。

オペアンプの足補配置はこんな感じです。

20200722002.jpg

回路図に5,6,7と書いていますが、1,2,3でも同じことです。

この回路図は、NFBを理解するために簡単にしています。
定本のP18にも、「もっといろいろつけろ」って書いていますが、それほど難しいものでもなく、電源インピーダンスを低下させるためのコンデンサが正負電源にぶらさがっており、入出力安定用の抵抗と発振防止用のコンデンサがNFB回路にパラレルで入っているだけです。(この回路は、反転増幅回路なので少し違っています)

実用回路になると、こんな感じ

20200503001.jpg

前に公開した、プリアンプの回路です。
電源は±15Vですが、別に±12Vでも動きますし、大事なのは5.1Kと1.2Kの抵抗で
(5.1+1.2)/1.2でゲインは大体5倍くらいです。

これで、5つの法則を全てマスターしました。
後は、基本回路を3つ覚えるだけです。

私は、夏休みにアンプを一つ作ろうかと思っています。まだ、腹案ですが、今回のブログの記事の知識だけで、簡単で実用になるアンプが設計出来て作成出来たらよいなぁ・・・

と思っています。
退屈かもしれませんが、もう少しだけお付き合いください。


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3日でなんとなく理解の出来るアンプ回路図の読み方と設計手法(その2)

さて、昨日つくったアンプをMCヘッドアンプに使おうかと思います。

しかし、MCヘッドアンプとしては倍率が足りません。MCとMMの出力の違いは10倍くらいあるので、MCヘッドアンプのゲインも10倍くらいほしいところです。

なので、昨日のアンプの回路を改良します。

法則3
「エミッタ接地回路」のゲインはR3/R4になる。
ってのがありますので、R3の抵抗を替えます。

20200721001.jpg

赤字が変更したところとポイントになる電圧です。
昨日作った回路のR3(7KΩ)を倍の14KΩに変更します。これで、ゲインが10倍になるはずです。
電圧を確認すると・・・
右側のトランジスタのラインで、14V、-3,4V、1.4Vです。

あれれ?電圧がマイナスになるところが出てきました。
これでは、回路として成立しません。実際はもっと小さい電流量になってしまうのです。
ゲイン10倍はやはり無理なのか・・・

ここで、法則4
「コンデンサは交流は通すけど直流は通さない」

を使います。「そんなの、当たり前」と言われると思いますが、増幅回路で使うと面白いことが起こります。

20200721002.jpg


どうですか?
上のR3の7Kの抵抗はそのままにして、下の1.4Kの抵抗を2つにしました。
二つ目の抵抗はコンデンサが並列に入っています。

直流の電気は、コンデンサは通さないので、1.4Kのままです。したがって、直流的な電圧は昨日作成した回路のままです。
しかし、交流の電気(音声信号)はコンデンサが通すのでスイーっとアースに流れていきます。
このため、交流的な増幅比率R3/R4は、7K/0.7Kで10倍になるのです。

これで、MCヘッドアンプの完成です。簡単なものでしょう。
定本をお持ちの方は、P52を見てください。似たような図と話が書いています。

大事な法則はほとんど出ました。
今日の「直流と交流が別の動きをする」ってのは結構重要なのですが、難しいので、そんな感じなのかぁと漠然とイメージできれば十分です。

あとは、もう一つ法則を覚えて、基本回路をいくつか覚えるだけです。


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